育児休暇を1ヶ月取得して強く残ったのは、昼間の出来事よりも、夜の時間だった
育児休暇を1ヶ月取得した。
世間一般的には長い方だろうか。
当事者としては短期間で後悔が残るものの、育休最初期の現実が見える長さだったとも思う。
職場に復帰してまず聞かれるのは、「実際どうだった?」という質問だ。
ただ、この問いに、いつも少し言葉に詰まる。楽だったとも言えないし、大変だったと一言で片づけるのも違う。
この記事では、実際に1ヶ月過ごしてみて、「こういう生活だった」「こう感じた」「こういう点で想像と違った」という事実と、その背景にある思考を、そのまま書いてみたい。
育休前に聞いていた話と、現実のズレ
私たち夫婦は、産後の一ヶ月を自宅で2人で育てることに決めていた。
義両親に頼れなくもない距離だったものの、まずは自分たちでやってみようという考えがあったからだ。
こうした前提で育児経験者にアレコレと話を聞いていたのだが、事前に経験者からよく話されたのが夜の過ごし方だ。
「2〜3時間おきに授乳が必要だから、交互に起きて負担を減らしたほうがいい。」
「寝る前にミルクを多めに飲ませると、まとまって寝る。」
「育児は3時間サイクル。慣れれば、生活リズムは自然と整ってくる。」
「眠れない生活が始まるよ。」
どれも、完全に間違いではない。
ただ、夜を何度か越えてみて分かったのは、それらはどこかの一場面だけを切り取ったものや、具体の苦労が省略された表向きの表現だった、ということだ。
授乳とミルク、あげる量はどうするか
夜は、だいたい同じように始まる。
当時は大人も子供も19時に照明を落とす生活をしていて、入眠前に最後の授乳に入る。
第一子の出産で、初めのうちは母乳のリズムも軌道に乗らないとのことで、母乳とミルクの混合だった。
母乳を10分ほど粘ったあとにミルクを足し、「このあと少し寝てくれれば」と願いながら様子を見守る。
ただ、思ったようにはいかない。
たくさん寝て欲しいからとミルクを与えすぎると、途中でいきみ、吐き戻す。
服を替えながら、「さっきの判断は合っていたのか」と考える。
ミルクの量が過量となることも問題で、次の授乳までの時間が空きすぎると母体の胸が張って痛かったり、乳腺炎となるリスクもあるらしい。
では、ミルクを控えめにすればいいのか。
そうすると今度は、お腹が空いていつまでも泣き止まない。
毎回母乳で世話するには、母親の負担は重くなる一方だし、腹持ちの良いミルクと比較して、お腹が空くのも早まってしまう。
胸の張りには搾乳機という選択肢もあり、実際に購入したのだが、実際に使うと準備や後片づけの手間が多い。搾乳部分のパーツは小さくて多く、それらを洗い、消毒し、また組み立てる。
眠気でクタクタな夜間にこれらをこなすことはうんざりして、数回使ってやめた。
19時、22時、1時、4時、7時、10時・・・と授乳が来ることを想定してほしい。
細切れの睡眠で大人が寝た感覚を得るには、毎日おおよそ昼頃まで時間が必要だった。
活動時間は残り半日だ。
寝不足で大人のお腹も空くため、大人の食事も準備しなければならない。
洗濯(大人分と子供分で2回)・買い出し・炊事と、ワンオペでは決してこなせない負担だ。
3時間サイクルと、その合間の現実
混合でお世話するからには、毎回2人で起きて世話をした。
母には母乳に専念してもらうとして、父親の役目と実際の初期の不満を隠さず残しておく。
- おむつ替え
薄暗い中で、ベビー服のボタンや紐をつけ外しすることに苦労する。
足がばたついて上手くオムツをセットできない。
テープの締め付け具合が迷う。(締め付けすぎると苦しそうだし、ゆるいと漏れる) - 哺乳瓶へのミルクセット&瓶洗浄
消毒後に狭い場所で自然乾燥させていると、パーツの扱いが面倒。
ミルク冷ましや手指の消毒水仕事が繰り返されるため、手の乾燥ケアが必須。
瓶の手動洗浄〜乾燥が面倒くさい。 - 寝かしつけ
ようやく寝たと思っても置いたら泣く。こちらが泣きたい。
授乳は必ず3時間ではなくて良いらしいが、我が子はほぼ3時間間隔で目覚めていたし、胃の容量的にも大体そのくらいなのだろう。
とはいえサイクルは3時間あると思っていても、実際には授乳の時間(30分)+授乳前後の片付けと準備+寝かしつけのため、間隔は2時間も無い。
寝かしつけも、抱く。落ち着く。置く。また泣く。の繰り返しだ。
科学的な寝かしつけ方法として紹介されていた“5分歩いて8分じっとする“策を信じて、何度もトライしていた。
赤ちゃんが寝たからといって大人がすぐに眠れるわけでもない。
眠れない時間に、不安や迷いだけが、静かに積み重なっていく。
──「聞いていた話と違うのは心していたけど、どこにも正解方法は無いんだ、と」
後から思えば、育休前に聞いていた話は、正解がある前提で語られているものが多かった。
でも実際の夜は、正解をなぞるというより、選んだあとに、その結果を引き受ける時間だった。
「眠れないよ」の言葉の裏には、具体的には表現されない数多の出来事が生じていた。
朝が来たときの感覚
空が少し明るくなり始める頃、「一日の始まり」という感覚はなく、次の3時間サイクルを意識するようになっていた。一晩を終えた、というより、「なんとか越えた」という感覚が残る。
達成感はなく反省点はいくつも浮かぶ。
それでも、カーテン越しの光を見たとき、少しだけ肩の力が抜けた。
昨夜の判断が、すべて正しかったとは思えない。
ただ、迷いながらでも考え続けた時間だったことは確かだ。
1ヶ月の育休を振り返って
育休を取って、何かを極めたわけではない。
育児に自信がついた、とも言い切れない。
ただ、育休や育児について、軽く言葉にできなくなった。
それはたぶん、夜の時間を何度か通ったからだと思う。
これから育休を取る父親も、育休前後の仲間を送り出す会社の方々も、もし言葉にしづらい話を聞いたら、
「そういう時間なのかもしれない」と思ってもらえたらいい。
少なくとも自分にとって、この1ヶ月は、うまく説明できないまま確かに残っている。
具体的な苦労話を吐露しても仕方がないし、自分でもすぐには言語化できない。
だからこそ「幸せで大変でした。これからも頑張ります。」と答えてしまうのだ。
子供ができたことで、写真を見返したり、形として残すことの意味も改めて考えるようになった。
実際に外注で写真をプリントしてみた体験は、写真を外注プリントする方法 にまとめている。
